イスラム教の戒律により、ムスリム(イスラム教徒)が口にすることが許された食べ物などは流通過程でも厳密な管理が必要になる。具体的には豚肉など許されていない「ハラーム」と接触してはいけない。
日通のハラル輸送では、物流センターの倉庫に専用のスペースを設ける。ハラルを運ぶ専用の台車とカバーも用意し、エレベーターを分けて使うなど倉庫内での動線もハラームと分離した。
輸送時に使うコンテナは「宗教洗浄」と呼ばれるイスラムの戒律にのっとった方法で清めたものを使い、貨物列車や航空機、船などを使って輸送する。
日通は国内の認証機関から16年に東京都内の拠点でハラル認証を取得。このほど福岡市でも認証を得た。国内の東西に拠点を設けることで、配達までの時間が短縮されるなど効率的な輸送が可能になる。現在のハラル輸送の実績は小規模にとどまるが、ムスリムの訪日客も増えていることから、今後は配送需要の増加が期待できる。
例えばムスリム向けに食品を提供したい九州の飲食店や小売店などへ、関東の食品メーカーが製造したハラル対応食品を配送するといったケースを想定する。すでに愛知県の製粉業者から西日本の食品メーカーに小麦粉を運ぶなど実績を積みつつある。
さらに、日通はマレーシアでも14年に同国のハラル認証機関から認証を取得している。これまでにも日本からマレーシアへ和牛やマグロなどの鮮魚を運び、マレーシアからは日本にムスリム向けの機内食の材料などを輸送した。
アジアへの物流の窓口として機能している福岡に拠点を設けることで、和食ブームに沸くアジア、特にイスラム圏への配送需要が取り込めると期待する。輸送効率を上げてコストを下げる効果も見込める。
国内だけでなく、海外も含めて一体的にハラル輸送をしているのは国内企業では珍しいという。今後はマレーシアだけでなく、インドネシアもハラル輸送の対象にすることを検討する。国内でも「需要動向をみながらハラル認証を取得する施設を増やしていきたい」としている。
(福冨隼太郎)

輸送用コンテナは「宗教洗浄」と呼ばれる手法で清める
物流倉庫内では、ほかの食材などと混ざらないように専用の台車を使う

倉庫ではハラル専用のエリアで保管する
/309