クライシュ族の中でアーミナのような清浄で貞節ある娘は他に居なかった。彼女は無知の時代に生きていたにもかかわらず、決して罪を犯し穢れてしまうというようなことはなかった。
人々が偶像を崇拝したり、多神教であって、自らの娘を生き埋めにしていたような時代にあってアーミナの父(ワハブ)は娘を自分以上に愛し彼女のような娘があることを誇りにし、彼女の真価を理解していた。人々が石や木でできた偶像を崇拝し、唯一神崇拝を忘れてしまっていた時代のメッカの人々は、食べ物もハラームで穢れていたが、ワハブとその家族は最も清い健康的な食べ物を口にしていた。そして困窮する人々に対し他の誰よりも率先して援助を行っていた。このためクライシュの人々は、ワハブとその家族を尊敬しメッカにおける最も高貴な家族として認識していた。
ワハブはバニー ゾフレ部族に属していてクライシュ族の有力者の一人であった。勇敢、清浄、確かな受託者、施し、親切、気高さ、勇気において他に例がなかった。アーミナはこのような父の保護の下で生活していたので、すべての面において助けられていた。唯一神信仰、イブラーヒームの教えを高貴な家庭の中で清浄でハラールな糧によって育ったためにクライシュ族の人々が、そのような宝石のような娘を持つことを羨むような娘に成長した。アーミナは清純で、信仰・崇拝の純粋さにおいて、アラブのいかなる娘たちや女性たちも彼女の階位には届かなかった。アーミナは、唯一神信仰、節制、美しさ、恥じらい、偉大さ、教養、優しさ、純潔さにおいて他に例がなかった。ワハブも彼女に貢献し、優しさを尽くすことに決して努力を怠らなかった。そしてこのような子を授けられたことに対し感謝を捧げた。クライシュ族の人々の多くが、この娘についてその真価を知らず、彼女の輝かしい将来について何も知らなかった。
アーミナはその独自の徳性によって多くの求婚が常にあった。多くの男性たちが彼女の配偶者となることを望んでいた。彼らの多くは、ワハブの許に行き彼の娘との結婚の許可を求めた。しかし、その娘はいつも「NO」の答えを出し、こう言った「まだ、私の結婚の時には至っていない」メッカ周辺の有力者たちはアーミナへの求婚について、それぞれ単独で彼女の父親と話し合いを持った。しかし彼らの願い出は決して実を結ばなかった。そんなある日、アブドゥル・ムッタリブがワハブに会いに行った。ワハブはアブドゥル・ムッタリブとの会見を非常に嬉しく思い、偉大な彼を手厚く迎えた。豊かな会話のあと、アブドゥル・ムッタリブはワハブに言った「もし許可していただけるならば、お嬢さんのアーミナを私の息子のアブドッラーの妻としていただきたいと思う。」ワハブはこれを聞いて非常に嬉しく思いこう言った「これについて、娘に話し、彼女の意見を聞いてみます。」
ここでアブドゥル・ムッタリブの息子、アブドッラーについてであるが、アラブの若者の間で有名であり模範であったため、多くの娘たちが彼との結婚を希望していた。しかしアブドッラーがそれらを受け入れなかった。
クライシュ族の娘たちはアブドッラーの高潔さと美しさについて疑いを抱かなかった。そして彼との結婚を望んでいた。しかしアブドッラーは常に神の定めを求め、神の望むところに従っていた。ワハブがその娘にこのような申し込みを告げると、アーミナもその恥じらいを保ちつつもそれに対する賛成の意を表した。こうしてアブドッラーとアーミナは結婚をし、小さな家庭を持った。暫くして、アーミナは子供を授かりました。のちに彼はムハンマドと名付けられます。アーミナ母になったのです。そうです、預言者の封緘の母になったのです。前もってこのような吉報が伝えられていました。「やがてあなたの子は預言者となる。」この吉報により、アーミナはこの子の誕生を待ち望んでいました。しかし、ムハンマドの誕生を前にその父アブドッラーはこの世を去り、アーミナは大きな心痛を抱え独りになった。父の死後ムハンマドは生まれ、現世での眼を開きました。アーミナはムハンマドという真珠を宿した貝のような存在でした。
数年がたち、ムハンマドは日に日に大きくなり6歳になった。
この年、アーミナはムハンマドを連れてヤスリブに旅をしましたが、そこで病に倒れました。そこで彼女は残された最後の日々を過ごしていた。その最愛の息子を眺めこのような詩を謡いました。
「もし、あの夢が真実であるならば
貴方は、選ばれた神の預言者となるでしょう。
メッカとそれ以外の場所において
トーヒード(唯一神信仰)とイスラームへの招待のため
善行者であった祖父イブーラヒームの教えのために
預言者として遣わされるでしょう。
神は、あなたを“偶像崇拝への愛”から遠ざけられた」
そしてこう続けた
「生けるすべてのものは死にます。
また全ての新しいものは、古いものになる。
そして私は死にますが、私の名は残るでしょう。
なぜなら私は善良な子供を産んからです。」
こうしてアーミナは、この病の為にこの世を去り埋葬されました。
しかしムハンマド(SAW)の名が唱えられる限り、彼の偉大な母の名「アーミナ」も生き続けます。
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