アフル・バイト通信(ABNA)によると、グローバル化と移民の拡大により、文化的な境界線はこれまで以上に接近している。その一例として、イスラム教徒が日本のように歴史的・文化的背景の異なる国々で増加し、存在感を強めていることが挙げられる。
日本におけるイスラム教は少数派の宗教であるものの、近年はモスクの建設や社会活動を通じて、その地位を確立しつつある。川上康典氏の調査によれば、日本のムスリムコミュニティは約100年の歴史を持つ。例えば、神戸市のイスラムモスクは1935年に設立された。
1980年代までは日本のムスリム人口は少数であったが、バブル経済期の1980年代半ばにかけて急速に増加した。パキスタン、バングラデシュ、イランなどイスラム教国から来た若い男性労働者たちが、日本の人手不足の工場や小規模事業で働き始めたのだ。しかし、不法労働者問題が浮上すると、日本政府はこれらの国々からのビザ免除措置を停止した。
1990年代のバブル崩壊後、一部のムスリムは在留資格を得て、結婚などを通じて合法的に居住するようになった。正確な信仰人口の統計は存在しないものの、2000年の調査では約6万3千人がムスリムと推定されている(桜井恵子『日本のムスリム社会』筑摩書房、2003年)。
今日、多くのムスリムは家族を持ち、日本人と共に暮らし、子供たちを日本の学校に通わせている。時間の経過とともに、日本におけるムスリムとしての生活様式が形成されてきた。こうした姿は、世界的なイスラム教やムスリムに対する否定的なイメージに対して、日本人が現実の姿を直視できる良い機会となっている。
横浜の港北区にあるモスクでは、毎週金曜日の礼拝がアラビア語で行われ、アジア、アフリカ、その他世界各地から約70人の信徒が集まる。かつては個人のアパートで礼拝が行われていたが、2006年に地域コミュニティが1000万円で建物を購入し、改修を経て昨年末にモスクとして開設された。
モスクは単なる礼拝の場ではなく、地域社会の中心である。成人は礼拝と説教に参加し、子どもたちはコーランを学び、寄付を集めて支援活動も行われている。日本には現在30~40のモスクと、礼拝スペースを設けた100以上の住宅用部屋がある。
また、愛知県の安城にある新しいモスクでは、日曜日の早朝に300人超の信徒が集まり、その多くは近隣工場で働くインドネシア人労働者だ。彼らは1990年代初頭から始まった研修生制度を利用して日本で働いている。職場での礼拝環境はまだ十分とは言えず、信者たちは職場での理解や配慮を求めている。
こうした中、イスラム教徒の増加に伴い、日本人の中にもイスラム文化に興味を持つ人が増えている。神戸大学の森田豊子教授は、「1990年代以降、モスクやイスラム文化イベントが増え、日本人にとってイスラムは遠い存在ではなくなった」と指摘する。
最後に、外国人労働者によるモスク建設は、少数派宗教であるイスラム教が日本社会に根付いている証だ。ムスリムたちは困難を乗り越え、信仰と文化を守りながら、日本社会と調和し共存している。
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