3 9月 2025 - 00:09
Source: Parstoday
イランの提案:金融協力の強化メカニズムとしての「上海協力機構特別口座・決済」構想

ペゼシュキヤーン・イラン大統領が「我が国は、SCO上海協力機構が国際体制の多極化に向けた支柱の一つとして、より平和な世界と経済協力の拡大をもっと実現しやすい世界を実現すべく、二つの並行した道において実践的、具体的、かつ透明性のある措置を講じるべきだと考える」と語りました。

ペゼシュキヤーン大統領は1日月曜、中国・天津で開催された第25回SCO首脳会合において「加盟国間の経済交流における違法な制裁の影響軽減を目指す金融協力強化の文脈において、イランは金融協力強化のための実践的なメカニズムとして『SCO用特別口座・決済』イニシアチブの強化を提案した」とした上で、「このイニシアチブは、加盟国間の取引所における自国通貨による決済の拡大とドルへの依存度の低減、共同デジタルインフラの立ち上げと中央銀行デジタル通貨による安全かつ迅速な決済、そして制裁圧力や流動性危機にさらされている諸国への支援を目的とした多国間通貨スワップ基金の設立、という3つの主要軸に基づくものである」と述べています。

 この首脳会合におけるペゼシュキヤーン大統領の演説本文は以下の通りです;

慈悲深く慈愛あまねき神の御名において

中華人民共和国 習近平国家主席殿

偉大なるイランイスラム共和国国民を代表し、貴殿の接待と今回の首脳会合の開催、そしてSCO上海協力機構の設立・強化に向けた貴殿と中華人民共和国の継続的なご尽力に対し、謝意と敬意を表する。

各国家元首、表敬すべき各国大統領、首相の諸氏、そして加盟国殿

SCO上海協力機構は、日々新たな危機に直面する世界において、加盟国の平和を愛する精神と平和精神の象徴である。去る6月にシオニスト政権イスラエルとアメリカ合衆国がイランに対して行った違法な軍事侵略、ガザ地区の被抑圧民の継続的な虐殺、そして各国に対する違法な制裁の無差別行使は、現代世界が適切な国際統治モデルを実現できず、国際平和と安全を確立できていないことの明白な例に他ならない。

SCOは設立以来、相互信頼と利益、平等、集団協議、文化的多様性の尊重、そして共通の発展という原則を重視し、集団安全保障の確保と様々な分野における協力拡大を最重要目標に掲げてきた。これらの原則を尊重し、イランはこの点において適切な役割を果たす用意がある旨を表明する次第である。

イランは、国際体制の多極化の重要な柱の一つとしてのSCOが、より平和な世界と経済協力拡大に備えた世界を築くために、二つの並行した道において実践的、具体的、かつ透明性のある措置を講じるべきだと考える。

この枠組みにおいて、私はイラン・イスラム共和国が「平和の構築」及び「一方的制裁の影響の軽減に向けた金融協力の強化」という2つの重要な必要性、あるいはより組織的な努力追求という具体的な提案を強調する次第である。

平和構築の分野では、地域の平和と安全を脅かす様々な危機について意見交換や協議を行い、危機管理のための運用案を策定し、その後のフォローアップのメカニズムを整備するため、各加盟国の外相らで構成される委員会の設置が必要となる。

この委員会は、潜在的危機および現実に起こっている危機の両方において、加盟国の要請に応じて直ちに招集する能力を有し、組織の知的・実務的部門として適切な役割を正式に果たすべきである。特に、加盟国の国家主権が侵害された場合、このメカニズムは直ちに対応し、様々なルートを通じて、主権が侵害された加盟国への支援に努める必要がある。

違法な制裁が加盟国間の経済交流に及ぼす影響を軽減するための金融協力強化の枠組みにおいて、イラン・イスラム共和国は、金融面での協力強化を目的とした実践的なメカニズムとして、「SCO用特別口座・決済」イニシアチブの強化を提案する。このイニシアチブは、以下の3つの主要な軸に基づいたものである;

- 加盟国間の取引における自国通貨決済の拡大とドルへの依存度の低減。

- 共通デジタルインフラの構築と中央銀行デジタル通貨を用いた安全かつ迅速な決済。

- 制裁圧力や流動性危機に瀕している諸国への支援を目的とした多国間通貨スワップ基金の設立。

我々は、この取り組みの実施により加盟国の経済的回復力が増すことに加え、SCOが外的圧力に対抗できる多極的かつ公正で回復力のある金融体制構築の成功モデルになりうると確信している。

イランはさらに、安全保障上の脅威や課題に対処するための専門センター、及び麻薬密売対策センターの設立、危機的状況への迅速な対応メカニズムの開発、戦略研究センターの設立、組織の公用語の拡大などの取り組みを歓迎し、これらの措置が集団的協力の強化並びに、国家間の永続的な絆の構築に向けた効果的なステップであると考える。

イラン・イスラム共和国は、その独自の地政学的、通過ルート上にあるという立地条件、そして様々な地域へのアクセスのし易さを活かし、地域協力の拡大、思惑とする国々へのアクセス円滑化をはかるべく必要なプラットフォームを提供する用意も備えている。

これまでの努力により、インド洋につながる我が国の南東部チャーバハール港は間もなくイラン国有鉄道網に接続され、中国、中央アジア諸国、アフガニスタンとインド洋を結ぶ重要な発展につながることが見込まれる。投資家は、この港湾で物流センターを開発・設立するための様々な優遇措置や割引を利用できる。

イランは、SCO10カ年開発戦略の実施を、インフラ、技術開発、エネルギー、デジタル経済、気候変動・環境、文化、科学の分野での協力・投資の拡大に向けた歴史に残る機会と捉えており、これらの目標達成に積極的な役割を果たす用意がある。

最後に、今回のサミットの開催国・中国の習近平国家主席閣下が「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」の形で提示した、グローバル・ガバナンス改革の必要性に関する建設的な見解に対し、イランの支持を表明する必要があると考える。イラン・イスラム共和国は、このような見解の提示がより公正な世界の実現に向けた効果的な一歩であると信じている。

ご清聴いただいた諸氏に、心からの謝意を申し述べる。

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