3 9月 2025 - 23:29
Source: Parstoday
米国は新たな対イラン制裁に何を求めているのか?

米国が、イランの石油販売を阻止するため新たな制裁を行使しました。

 米国財務省は2日火曜、同国政府によるイランへの最大限の圧力行使の継続として、イランの原油輸出・販売と対イラン制裁回避への関与を口実に、7つの企業と9隻の石油タンカーを制裁の対象としました。

米国財務省は「今回の措置は、2025年7月3日にOFAC米国財務省外国資産管理局が(イラク人ビジネスマンの)サリム・アフマド・サイード(Salim Ahmed Said)が運営するネットワークを標的とした制裁措置に基づくものである」と主張しています。米国財務省によれば、このネットワークはイラクとイランの混合原油を密輸し、イラン政府に多大な収入をもたらしていたとされています。

同省はまた「これらの措置は、国家安全保障に関する大統領令第2号に基づき、イランによるイラク経済への破壊的な影響の阻止および、イランに対する最大限の経済的圧力キャンペーンの支援というアメリカの責務・約束事を示すものである。この行動は、イランの石油・石油化学部門を含む同国経済の特定セクターで活動する個人を標的とする大統領令(E.O.)2023に基づいて実施されている」と表明しています。

2025年2月4日、ドナルド・トランプ米大統領はイランに対する最大限の圧力行使政策を継続する覚書に署名しながらも、ペゼシュキヤーン・イラン大統領と協議する用意があると主張しました。しかし、イランと米国の間で5回にわたる間接交渉が行われ、イランへの外交的アプローチを主張していたにもかかわらず、去る6月15日に第6回交渉を目前に控えていた同月13日、シオニスト政権イスラエルはテヘランの核施設を含む地域に加えて、その他の複数都市を軍事攻撃し、これによりイランの多数の科学者、軍人、民間人が殉教しました。

これに加えて、米国は去る6月22日にイラン中部フォルドゥ、ナタンズ、イスファハーンの核施設を攻撃し、イラン軍はこれらの軍事侵略に対抗しました。アメリカのこの行動は、国連安全保障理事会の承認なしに国連加盟国を攻撃するという米国の違法行為、そしてIAEA国際原子力機関およびNPT核兵器不拡散条約の規定への完全な違反行為を象徴するものだといえます。

現在、トランプ米政権は対イラン軍事攻撃後のイランに対する最大限の圧力行使キャンペーンの枠組みにおいて、制裁措置の発動によりイランの原油輸出を削減または停止させようと最大限の圧力をかけようとしています。制裁の新ラウンドは、随時発表されています。アメリカがイランの原油輸出に対し新たな制裁を発動する主な目的は、イランへの経済的圧力を強め、その財源を制限することだと言えます。これらの行動は「最大限の圧力」戦略の一環であり、核開発計画、地域における反覇権主義運動への支援、そしてミサイルをはじめとする先進兵器の開発など、様々な分野におけるイランの行動を変えさせることを狙いとしています。

米国の新たな制裁の主要な目的:

ーイランの石油収入を削減し、同国政府の軍事・安全保障計画(国防軍需省、警察司令部情報機関への資金提供を含む)への財政的能力を制限すること。

ーイランの石油販売ネットワークのかく乱:米国は、非公式の石油輸出ルートの遮断を目的に、イランの「影の艦隊」に関係する企業、船舶、個人に制裁を課した。

ー制裁回避の防止:制裁対象企業の多くは中国、UAEアラブ首長国連邦、ギリシャ、北太平洋マーシャル諸島などの第三国に拠点を置いており、アメリカはこれらの国がイランによる制裁回避を幇助していると主張している。

ーイランのエネルギー外交の弱体化:米国は国際石油市場へのイランのアクセスを縮小させることで、イランの地域・国際的な影響力を制限しようとしている。

ー交渉復帰を迫る圧力強化:イランは米国の約束不履行により現時点では交渉を中断しているが、一部のアナリストは、今回の制裁によりイランは核計画に関連の新たな合意を受諾せざるを得なくなる可能性があると見ている。

米国の新たな石油輸出制裁に対するイランの対応

アメリカによる今回の制裁に対するイランの対応は、政治的立場、外交的措置、そして制裁の経済的影響の軽減を目指す取り組みの組み合わせとなっています。イランは最近の石油制裁に関して、以下のような多面的な対応を講じてきました;

公式見解:

制裁に対する非難:外務省を含むイラン当局は、新たな制裁措置を「違法」かつ「国際法違反」として非難し、これらの措置がイランの意志に何ら影響しないと強調している。

抵抗の道の継続:イランは石油輸出と経済発展の政策を継続すると発表しており、今回の制裁は深刻な障害とは捉えていない。

実践的な措置

アジアのパートナー国との協力強化:この点において、イランは制裁の圧力を大幅に緩和すべく、中国、インド、ロシアなどの国々との経済関係強化に努めてきた。

仲介会社の利用、輸送ルートの変更、物々交換(バーター取引)やドル以外の通貨での石油販売など、種々の代替手段を使用する。

近隣諸国および反制裁圏との関係与強化:イランは、一部のBRICS新興経済国グループ加盟国など、米国の制裁政策に反対する諸国との経済・政治的協力の拡大に努めている。

また、一部の事例においてイラン側は制裁の正当性に疑問を提起し、ICJ国際司法裁判所などの機関に提訴している。

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