6 11月 2016 - 15:38
イラク軍 モスル近郊の町を制圧 市内では激しい抵抗か

イラク第2の都市、モスルの奪還作戦を進めるイラク軍は、過激派組織ダーイシュ(IS)が支配してきた近郊の町を新たに制圧しましたが、モスル市内ではISがバリケードなどを築いていることがわかっており、より激しい抵抗が予想されます。

モスルの奪還作戦を進めるイラク軍は5日、モスルの南およそ20キロまで部隊を進め、ISが支配してきたハマムアリルを激しい戦闘の末に制圧したと発表しました。
国連によりますと、ハマムアリルではISがほかの地域から強制的に連行した住民を含め、数万人をとどめていたと見られ、「人間の盾」に利用することが懸念されていましたが、今のところ市民の安否について詳しい状況はわかっていません。
一方、地元メディアによりますと、モスル市内ではイラク軍がいったん制圧したとしていた東部の地区で、地下に掘られたトンネルからISの戦闘員が現れて軍との間で激しい戦闘に発展したということです。さらにアメリカのシンクタンクが公開したモスルの衛星写真からは、市内の至る所にバリケードが築かれ、ISがイラク軍を迎え撃つ準備を周到に進めてきたことがわかっており、今後、ISによるより激しい抵抗が予想されます。

「人間の盾」 奪還作戦の課題に

モスルの市街地での作戦を難しくしているのが、いわゆる「人間の盾」の存在です。国連によりますと、モスル市内には現在、100万人を超える住民が住んでいると見られるうえ、奪還作戦が始まって以降、ISによって周辺の地域から強制的に連れ去られた数万人が新たにモスルの市街地に移動させられました。
ISはこうした住民を軍事施設などの重要な拠点に集め、攻撃を避けるための「人間の盾」として利用しようとしているとみられ、移動を拒否した住民がISに射殺されたという報告もあるということです。

さらに1日には、モスルの西側にあり、イラク軍が奪還を目指している要衝の町、タルアファルにも、近郊の町からおよそ1600人の住民が移動させられ、「人間の盾」に利用されることが懸念されています。

地元のラジオ局にはすでに、モスル市内にいる住民からイラク軍側の攻撃に巻き込まれる人が相次いでいるという情報が寄せられていて、イラク軍やこれを支援するアメリカ主導の有志連合は、市民の犠牲を避けながらどう作戦を進めるのか、難しい対応を迫られています。

3方向からモスル市街地に進軍

先月17日に始まった、過激派組織ISが支配するイラクのモスルの奪還作戦には、イラク政府軍とクルド人部隊、シーア派民兵などおよそ10万人が投入され、モスルの周辺の町や村を制圧しながら東、北、南の3つの方向からモスルの市街地にむけて進軍してきました。

このうち東から進軍してきたイラク軍の部隊は、今月1日には、モスル市内の東端の地区に入り市街戦が始まりました。これに対してISは市内の地下に張り巡らしたトンネルに戦闘員を潜ませて、進軍してきたイラク軍の兵士を襲うゲリラ戦で激しく抵抗しています。このため一度、イラク軍が制圧した地区でもISの戦闘員がトンネルから現れるなどイラク軍とISの間での激しい攻防が続けられています。

一方、南から進軍している部隊は、5日、モスルの南およそ20キロの町ハマムアリルを制圧。空港などの重要施設のあるモスルの西部に向けて進軍しているほか、北からの部隊もモスル市内へと迫りつつあります。

さらにISがモスルに戦闘員や武器などを送り込む補給路を断つため、イラク政府は、モスルの西およそ50キロにある要衝の町、タルアファルの周辺にシーア派民兵を展開させ、ISとの間で戦闘を始めていて、モスルに対する包囲網を狭めています。

IS支配地域は縮小

過激派組織ISは、2014年6月、イラク第2の都市モスルを制圧したあと、イラクや隣国シリアに渡って支配地域を広げました。
アメリカの民間の調査機関、IHS紛争モニターによりますとISの支配地域は、去年1月の時点では、北海道よりも広い、およそ9万平方キロメートルに及んでいました。

しかしイラクでは、アメリカ主導の有志連合の空爆の支援を受けたイラク軍が、去年12月に西部アンバール県の拠点都市ラマディを、またことし6月にはファルージャを奪還。先月にはモスルの奪還作戦を開始、周辺の町や村を次々と制圧しました。
またシリアでもことし3月、ロシアの支援を受けたシリア軍が世界遺産の遺跡がある中部のパルミラを取り戻したほか、トルコ軍などの支援を受けた反政府勢力が北部のIS支配地域を相次いで制圧するなど、ISは、支配地域を失っています。

IHS紛争モニターは、ISの支配地域は、モスルの奪還作戦の始まる直前の先月はじめの時点で、去年の1月と比べて28%減少したとしています。

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