カタール国営衛星通信アルジャジーラ・ネットは、ネタニヤフ首相がガザ戦争の終結に同意せざるを得なかった理由を説明するマフムード・スルタン氏の解説記事を掲載しています。
アル・アーラムチャンネルは「ネタニヤフ首相が停戦受諾に追い込まれた理由の一つは、自らが世界で孤立し嫌悪されている現実を痛感したことにある。また、ネタニヤフ首相はICC国際刑事裁判所が発行した自身に対する逮捕状の執行を恐れ、ヨーロッパ上空の通過による移動を差し控えた。さらには、ネタニヤフ首相が国連総会で演説した際、出席していた各国代表団は会場を後にし、ネタニヤフ首相は世界の国家元首が誰もいない会場にいたことに気づいた」と分析しています。
欧州の要人らは、大量虐殺を犯しているとしてイスラエル政権を公然と非難しており、元国家安全保障問題担当米大統領補佐官ジェイク・サリバン氏のような親イスラエル派の米国民主党員の間でも、同政権への武器禁輸を求める声が高まっています。
去る8月には、西側諸国28カ国がイスラエルに対し、ガザでの犯罪行為の停止を求めていました。こうした要求が提起されたのは、様々な国や機関が文化、学術、スポーツ分野での対イスラエル制裁の行使を示唆したことに加えてのことです。この制裁を受け、イスラエルの大学教授ニムロド・ゴーン(Dr. Nimrod Goren)氏は、ガザ問題のために大半のイスラエル人が世界から敵視されていると感じている事実を認めました。また、イスラエル元首相エフード・オルメルト氏も、「我々は憎まれる政権になってしまった」と自白しています。
ネタニヤフ首相が自らの孤立化をまねき、自らを否応なしの停戦受諾に追い込むことになったもう1つの過ちは、ドナルド・トランプ米大統領からは何も強制されず、逆に自身を支持してくれるだろうと思い込んだことでした。しかし、しばらくすると、ネタニヤフ首相はトランプ氏からの最も強い圧力にさらされることになったのです。シオニスト政権の孤立化に対する懸念が非常に強まったことから、ネタニヤフ首相は「孤立に対抗すべくイスラエルは経済的に自立しなければならない」と警告する事態に至りました。
米国の世論調査シンクタンクであるピュー・リサーチ・センターの最新世論調査によれば、イスラエル市民の58%が、イスラエル現政権が他国から尊敬されなくなっていると考えていることが判明しています。また、イスラエル占領地住民の大多数が、戦争によって自政権のイメージが損なわれ孤立が深まったため、戦争の終結を望んでいることも明らかになりました。
さらに、トランプ大統領がイスラエルへの通知なしにパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスと交渉し、対シリア制裁を解除し、イランと交渉する意向を表明したことで、シオニスト政権は国際社会で四面楚歌の孤立状態となっています。
一方、イスラエル政権がカタールでハマス指導者の暗殺を企てたことを受け、トランプ陣営は、米およびNATO北大西洋条約機構外の同盟国との間のかく乱を狙っているとして、イスラエル政権を非難しました。その後、トランプ氏はネタニヤフ首相に失望していると表明し、戦争を終結させるべきだと警告しています。
また、ネタニヤフ首相がガザ戦争終結に同意した最も重要な理由の一つとして、ヨーロッパにおけるイスラエルへの憎悪の高まりと反イスラエルデモの開催が挙げられます。これは、ヨーロッパとシオニスト政権の歴史的関係における最も危険な転換点とされる課題であり、これによりイスラエルは自らが崩壊と衰退の瀬戸際に立たされていると認識することとなりました。
イスラエルに対する憎悪の念は世界規模で高まっており、今や史上初めて全ての同盟国がイスラエルに背を向けると脅迫する事態となっています。この出来事は、過去にあらゆる憎悪を逃れてきた国々で起こっています。エジプト・シナイ半島南部シャルム・エル・シェイクでの合意の4日前、ヨーロッパ各地で数十万人がイスラエルに抗議する集会を開き、シオニスト系メディアはこの出来事を、ヨーロッパとシオニスト政権の歴史的関係における最も危険な転換点だと評しました。
さらに、イスラエルは崩壊と滅亡への道を歩み始めており、おそらく70年以上前にシオニストが出発した場所への段階的な集団帰還へと向かっていると思われます。
このような状況下で、世界は初めて戦争停止の必要性について合意し、ネタニヤフ首相は世界の世論に屈するしかなくなりました。彼は自らの傲慢さと自尊心に溺れ、何の目標も達成できず、今やこの犯罪政権の首相には自らのしかるべき運命と政治的未来が待ち受けています。その未来とは、権力の座を退き、自らがイスラエルの刑務所の囚人になるという、自業自得の結果かもしれません。
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