慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
聖預言者ムハンマド(SAAS)は近隣の首長や宗教指導者たちに宛てたイスラームへの招待状を出した。そのうちの1通はナジュラーン(サウジアラビアのイエメンに近い町)のキリスト教徒たちをイスラームへ招待するもので、その指導者であったアブー ハーリサに宛てて書かれていた。
この手紙を受け取ったナジュラーンのキリスト教徒の一人が言った。「いつの日か、預言者の先祖がイスハークからイスマーイールに移ると、私は昔から何度か聞いている。ムハンマド(SAAS)が約束されたものであることは、彼がイスマーイールの子孫であることからも不思議なことではない。」
そこでナジュラーンのキリスト教徒たちは、この招待状の理由が何であるのかを知るために一団を使節としてマディーナへと送ることを決めた。
彼らの中から60人の賢者たち(うち3人は宗教指導者格であった)をマディーナに送った。
彼らがマディーナに就くと、聖預言者(SAAS)に託宣(神託)が何であるのかを説明することを求めた。聖預言者(SAAS)は彼らを唯一神信仰と神への服従帰依へと招き、クルアーンの節のいくつかを彼らに読誦した。
使節団は言った「あなたの意味するところが、唯一神信仰ならば私たちはそれを受け入れているし従っている。」
預言者(SAAS)は言った「イスラームにはいくつかの印がある。あなたがたはどうして神を崇拝しているということが出来るのか?あなたがたは十字架に仕え、豚肉も食べる、それに加えてイエス(AS)を神の子であるとする。」
彼らは答えた「その通り、彼は神の子です。なぜなら彼の母マルヤむはイエスを父なしでこの世に誕生させました。故に、神が彼の父でなければならない。」
その時、神はクルアーンのこの節(第3章第59節)を啓示しました
إِنَّ مَثَلَ عِيسَى عِنْدَ اللَّهِ كَمَثَلِ آدَمَ خَلَقَهُ مِنْ تُرَابٍ ثُمَّ قَالَ لَهُ كُنْ فَيَكُونُ ﴿۵۹﴾
イーサー(イエス)はアッラーの御許では、ちょうどアーダムと同じである。かれが泥で彼(アーダム)を創られ、それに「有れ。」と仰せになると彼は(人間として)存在した。
(3:59)
この節について詳しくはこちらをご覧ください。
http://japanese.irib.ir/programs/光の彼方への旅立ち/item/27066-コーラン第3章-アール・イムラーン章-イムラーン家-第54節~第60節
(神はアーダムを父なしで誕生させたようにイエスも誕生させられたのである。)
ナジュラーンのキリスト教徒が異議を唱え議論しモバーヘレ(*脚注参照)することを提案し、神はムハンマド(SAAS)にそれに応じることを命じた。
そして神は、クルアーンのこの節(第3章第61節)を啓示しました
فَمَنْ حَاجَّكَ فِيهِ مِنْ بَعْدِ مَا جَاءَكَ مِنَ الْعِلْمِ فَقُلْ تَعَالَوْا نَدْعُ أَبْنَاءَنَا وَأَبْنَاءَكُمْ وَنِسَاءَنَا وَنِسَاءَكُمْ وَأَنْفُسَنَا وَأَنْفُسَكُمْ ثُمَّ نَبْتَهِلْ فَنَجْعَلْ لَعْنَتَ اللَّهِ عَلَى الْكَاذِبِينَ ﴿۶۱﴾
(イーサーに関する)真実の知識があなたに下された後、もし彼についてあなたと議論する者があれば、言ってやるがいい。「さあ、わたしたちの子孫とあなたがたの子孫、わたしたちの妻たちとあなたがたの妻たち、わたしたちとあなたがたを一緒に呼んで、アッラーの御怒りが嘘つきものの上に下るように祈ろう」
(3:61)
この節について詳しくはこちらをご覧ください。
http://japanese.irib.ir/programs/光の彼方への旅立ち/item/27067-コーラン第3章-アール・イムラーン章-イムラーン家-第61節~第64節
こうしてイーサーに関する議論をモバーヘレによって終わらせることにした。
翌日、双方がマディーナ郊外に集まった。
聖預言者ムハンマド(SAAS)は、追従する信者たちの中から4人を選んで連れてきた。その4人とはアリー、ファーティマ、ハサン、フサイン(AS)であった。
この4人について簡単に説明すると以下のとおりである
アリー(AS):預言者(SAAS)のあと初代イマーム(イスラームの指導者)となる人物。聖預言者(SAAS)の従兄弟であり、婿である。
ファーティマ(SA):聖預言者(SAAS)の最愛なる娘、現世と来世における最も優れた女性。
ハサン(AS):のちに2代目イマームとなる聖預言者(SAAS)の孫、アリーとファーティマ(AS)の息子
フサイン(AS):のちに3代目イマームとなる聖預言者(SAAS)の孫、アリーとファーティマ(AS)の息子

ナジュラーンのキリスト教徒の一人が仲間たちに言った。
「預言者(SAAS)とモバーヘレする者は誰でも滅ぼされることを知らないのか?今すぐに彼と話し合いに行こう。もし呪いの1語のために彼が口を開いたならば、わたしたちは家族も財もあるものすべてを取り戻すことが出来なくなる。」
彼らは、預言者(SAAS)の許に急ぎ「あなたがモバーヘレのために選んだのはこの集団(4人)ですか?」と尋ねた。
聖預言者(SAAS)は答えた「そうだ。彼らが私に次いで一番神に近い者たちである。」
それを聞いて恐れ、体が震えたナジュラーンのキリスト教徒たちは、聖預言者(SAAS)のいう人頭税を受け入れることを認めモバーヘレをすることを諦めました。
モバーヘレ(ムバーハラ)とは:
2つの議論のどちらが正しいのか?結論に至らない議論において偽りを確かめる祈りで、神に裁定していただく慣わし。
双方が神に祈ることによって真理が残り、虚偽は神の懲罰によって滅ぼされる。
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