ノウルーズィIRIB国際放送局長は、モンゴルの首都ウランバートルで開催された第62回ABUアジア太平洋放送連合の年次総会で「メディアの声を黙らせることはできない」と強調するとともに「武力、侵略、植民地主義の言説からの独立メディアの正義を求める叫びをミサイルで黙らせることはできず、炎そのものが現代世界における権力の均衡と取引が持つ醜悪で非人間的なイメージを伝えうる最大のメッセージである」と述べています。
モンゴル・ウランバートルで14日日曜に開催された第62回ABU年次総会において、ノウルーズィ局長が行った演説の全文は以下のとおりです:
慈悲深く慈愛深き神の御名において
今ここに、IRIB国際放送局長として世界有数のメディアの幹部・会員の諸氏と共にこの場に出席できることを、大変喜ばしく感じている。また、今回の会合の開催の労をお取りいただいた関係者諸氏、並びにABU加盟組織の関係者諸氏に心から謝意を申し述べる次第である。
私は、何物にも隷属しない自由と正義を求める叫びに対してミサイル攻撃という返答を受けた、地域・世界にとって重要なメディア機関の焼け落ちた建物から、IRIBイラン・イスラム共和国国営放送を代表して、ご臨席の諸氏に対し演説させていただく次第である。
ご臨席の諸氏も御存知の通り、我がイラン国営放送本局のメインビルが、去る6月にイラン国民に対し押し付けられた12日間戦争中に、シオニスト政権イスラエルによる残忍なミサイル攻撃を受け、憎悪と復讐の炎に焼かれた。これは、パレスチナ被抑圧民および、地域の他のイスラム諸国に対する同政権の犯罪を勇気を出して暴露する独立系メディア、そして他者に隷属しない自由を求める人々の声に対する復讐に他ならない。
しかし、メディアの声を黙らせることは不可能である。武力、侵略、植民地主義といった言説から解放された独立系メディアの正義を求める叫びを、ミサイルで黙らせることは不可能である。逆に、炎そのものこそが、今日の世界における権力の均衡・取引が持つ醜悪で非人間的な姿を映し出す最大のメッセージであることは言うまでもない。
ABUアジア太平洋放送連合は、古代アジア文明とアジア文化の誠実さ、高潔さ、そして勇気に根ざし、アジアのメディアに効果的かつ、持続可能な役割を担う世界最大のメディア共同体である。この場には世界の放送界の重鎮諸氏が一堂に会し、この教養あるメディアフォーラムで、世界のメディアの明るい未来に向けた新たなビジョンを描いている。その未来とは、メディア関係者、ジャーナリスト、プログラマー、カメラマン、そして世界の真実を伝えるすべての語り手が、安全かつ勇敢に、世界中の人々と覚醒した諸国民を啓発するという真の使命に取り組む時代である。
この明るい未来において、最優先事項は言うまでもなくメディアの安全である。しかし、その安全は今や、かつてないほど危険にさらされている。過去23ヶ月だけでも、パレスチナ・ガザ地区では少なくとも250人のパレスチナ人ジャーナリストが殉教し、しかもそのうち31人は女性であった。ジャーナリストの殉教そして、この犯罪に対する関係国際機関の沈黙という遺憾な現象は、世界最古で最大のメディアの1つであるIRIB本局本部ビルに対するイスラエルの攻撃の序章といえるものだった。この攻撃で、我がIRIBは生中継カメラが作動中に11発のミサイル攻撃を受けた。
今日の世界と不平等なメディア戦争において、世界の諸国民の世論に対し専門性に外れ歪曲的なメディアの異常な波が押し寄せる中、ABUに加盟するメディアは、自らの古来の諸国民と広大なアジア共同体の正当性を表明するという大きな使命を担っている。
今こそ、この地域の独立系メディア間の交流と相乗効果を高め、アジア諸国が正義、独立、真実を求めて声を上げるとともに、世界中の堕落した騒々しい虚言メディアの破壊的な波に立ち向かうべき時が到来している。
同僚の諸氏に申し上げる。
ABUは、新技術へのアクセスの円滑化、そしてコンテンツ制作における革新の場の創出により、ラジオ・テレビといったメディアを最新の状態に保ち、またメディアの権利擁護および、その独立性の強化により、健全で自由なメディア環境の創出に貢献しうる存在でなければならない。同時に、加盟組織に対しては、緊急事態や戦争を仕掛けられた際においても適切なサービスに加え、意義ある支援を提供できる必要がある。
IRIB代表として、尊敬すべきABU事務局長が先だっての対イラン軍事攻撃を非難し、そしてABUのメディア関係者諸氏がシオニスト政権によるIRIBへのミサイル攻撃を非難した際の友好的な立場・共感の表明に心から謝意を示すとともに、ここに改めて軍事攻撃からのメディアの防衛・安全と免責特権の必要性に鑑み、メディア関係者諸氏および有識者の集まりたるABU加盟局に対し、IRIBへの軍事攻撃を非難するとともに、軍事行動と制裁からのメディアの安全・免責特権の防衛を目的とし、効力・一貫性のある本格的な措置を講じるよう強く求める次第である。とりわけ、1949年のジュネーブ4条約とその追加議定書、ならびにメディア関係者の保護に関する国連安全保障理事会決議第1783号に基づき、ABU加盟局内にメディアの一連の特権・免責事項の順守を目的とした法的作業部会の設置を提案する。
皆様のご清聴とご支援に心から謝意を申し述べるとともに、世界の諸国民の平和、平穏、安全を心より祈願する次第である。
Your Comment