マルコ・ルビオ米国務長官が、「米国とシオニスト政権イスラエルの同盟関係は維持されている」と強調しました。
マルコ・ルビオ米国務長官は今月13日夜、イスラエル占領地訪問への出発を前に「イスラエルがカタールを攻撃したものの、米国・イスラエルの関係性に変化はない」とし、「今回の攻撃によって我が国とイスラエルの関係の質が変わることはない」と語っています。
今月9日に発生したこの攻撃は、イスラエルによるカタール領土への初の攻撃であり、ガザにおける停戦成立に向けた外交努力に大きな圧力をかけた格好となっています。ルビオ国務長官はこの問題に関するトランプ米大統領の立場について、「トランプ大統領もこの攻撃に不快感を示していた。しかし、我々はそれによる結果、特に停戦プロセスへの影響について議論する必要がある」と主張しました。
トランプ米大統領はこの攻撃を「不快なもの」と表現し、「米国は遅れてこの攻撃の一報を知り、これを防げなかった」として、ネタニヤフ・イスラエル首相の一方的な行動を批判していました。
第2次トランプ政権において、トランプ氏がイスラエルに対し、その侵略的目標に沿ったあらゆる行動を容認してきたことが明らかになった今、次のような疑問が浮上してきます。それは、マルコ・ルビオ米国務長官が「最近の情勢、特にアメリカの緊密な同盟国であるカタールがイスラエルに攻撃されたにもかかわらず、アメリカとイスラエルの揺るぎない同盟に基づくこの両者の関係の性質は変化しない」と強調した理由はどこにあるのか、ということです。この姿勢には主に安全保障、地政学、イデオロギー的な配慮に関連するいくつかの理由があると見られます;
地域的・安全保障面での理由
イランを脅威として提示する:対イラン嫌悪の扇動という、この地域における米国の政策全体に沿って、ルビオ長官はイランを「地域の情勢不安定化の源」とみなし、「テロを支援している」と非難しました。彼は、西アジアにおけるイランの影響力に対抗するには、イスラエルとの同盟が必要だと考えています。しかし、イスラエルによるカタール空爆によって、アメリカのアラブ同盟国、特にペルシャ湾における脅威は、イランではなくイスラエルからもたらされていることが判明しました。
ハマス及びヒズボッラーとの対峙:ルビオ長官は「パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスはガザ地区の支配勢力であり続けてはならず、壊滅させるべきだ」と強調しています。この姿勢は、イスラエルのパレスチナ抵抗組織に対する政策と一致しています。一方、米国はイスラエルの安全保障と侵略の目標に沿ってレバノン政府に対し、同国のイスラム抵抗組織ヒズボッラーの武装解除を強く求めています。
地政学的な理由
イスラエルとの共通戦略:ルビオ長官とネタニヤフ首相は「共通戦略」を掲げていると発表しました。この戦略には、地域の脅威への対処や、トランプ大統領が提唱するガザ地区の将来に向けた計画のようなプログラムの実施が含まれます。
西アジアの民主主義支持を謳う主張:ルビオ長官はイスラエルを「自由で民主的な国家」と表現し、イスラエル政権をこの地域のモデルとみなしています。
政治・イデオロギー的な理由
トランプ氏の政策への同調:ルビオ長官は、トランプ大統領が提唱するいわゆる「革新的で大胆な」西アジア政策、特にシオニスト政権とアラブ諸国の関係正常化を目指すアブラハム・プランを支持しており、「古い考えを繰り返すことはもはや無意味だ」と強調しています。
アラブ・イスラエル関係正常化プロジェクトへの支持:対イスラエル無条件支持というルビオ長官の姿勢を踏まえ、トランプ大統領がルビオ氏を米国務長官に任命したことはイスラエルに歓迎されており、このことは同氏が地域におけるシオニスト政権の政策推進に強く機能していることを物語っています。
ここで重要な問題は、米国とイスラエルの戦略的同盟が西アジアの政治動向に重大な影響を及ぼしてきたということであり、それは安全保障、外交、経済、文化の側面から検証できます;
1. 地域の勢力バランスの変化
イスラエルは西アジアにおいていわゆる「西側の要塞、あるいはアメリカの不沈空母」として機能しており、アメリカはイスラエルを通じてこの地域における影響力を強化するとともに、本質的にはイスラエル政権の非合法な存続によって、特にペルシャ湾岸諸国におけるアメリカへの依存度が倍増しています。
この同盟は抵抗の枢軸への対抗を目的に継続しており、特にトランプ政権下では次第に複雑化し強化が進んでいます。一方で、トランプ大統領の圧力は、アラブ諸国をイスラエルとの関係正常化へと搔き立てています。
2. パレスチナ和平プロセスへの影響
特にトランプ政権時代以降、米国が無条件にイスラエルを支持していることで、和平交渉におけるパレスチナ人の立場が不利になり、二国家解決構想は大きなダメージを受けました。多くの国際機関は、米国がパレスチナ人に対するイスラエルの行動に目をつむっているとして非難しています。一方、トランプ氏の全面的な支持を得たシオニスト政権は、現在、独立国家パレスチナの成立という構想を公然と拒否し、ヨルダン川西岸地区を占領地イスラエルに併合させようと強く働きかけています。もっとも最近、国連総会で142カ国の賛成により、独立国家パレスチナ樹立に関する宣言が採択されたことで、独立国家パレスチナ樹立計画の撤回を狙った米・イスラエルの陰謀は深刻な打撃を受けました。
3. 地域的緊張の激化
米・イスラエル同盟により緊張が激化するとともに、特にイランの核開発計画及び抵抗組織に対する同国の支援においての、イランに対する米・イスラエルの共同の敵対行動を引き起こしました。その代表例が、去る6月に発生した対イラン戦争です。
この同盟はまた、地域における軍備拡張競争を助長し、アラブ諸国に米国からの大規模な武器購入を促す形となりました。
4. エネルギー資源と戦略ルートの支配・管理
米国はイスラエルおよびサウジアラビアとの同盟関係を活用し、西側諸国全体の利益に沿ってペルシャ湾からの石油の安定供給を確保するとともに、地政学的戦略ルートにおける自らの影響力の維持に努めています。
5. 地域諸国の国内政策への影響
米・イスラエル同盟は、アメリカと同盟関係にあるアラブ諸国政府と米国、そしてイスラエルとの連携を強めています。その一例が、UAEアラブ首長国連邦及びバーレーンとイスラエルとの関係正常化であり、これはUAEとバーレーン両国の内外政策にも影響を与えています。そしてもちろん、イスラエルの対カタール攻撃によって、この違法行為がシオニスト政権とアラブ諸国との関係正常化プロセスにどう影響するか、今後も注目していく必要があります。
重要な点として、米国とイスラエルの同盟が逆に、地域諸国における反西側、反米の潮流を強めていることが指摘されます。
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