16 11月 2018 - 15:30

イスラム教徒(ムスリム)に配慮した食事や礼拝室を用意する動きが、京都市内の観光業者や飲食店の間で広がっている。ムスリム向けにも「おもてなし」を充実させることで、増加が続く訪日外国人客の消費をさらに促す効果が期待される。

祈祷きとう室はありますか」

 着物レンタルの「豊彩」(下京区)では、ここ数年、インドネシアやマレーシアなどから来た客からこう尋ねられることが増えた。

 ムスリムは原則、1日5回、イスラム教の聖地メッカに向け礼拝する。同社では、希望する客には着付け室で礼拝してもらっていたが、要望が多いため今年から祈祷室を設け、客以外にも開放することにした。

 天井には、メッカの方角を示す緑色の印「キブラ」を貼り付けた。手足を清めるウェットティッシュや女性の全身を覆う衣類など、礼拝に必要な備品も置く。

 インドネシア人のムスリムで、同店従業員のシャナス・ダフニさん(25)は「ムスリムにとって不便な旅行先は多く、こうした配慮はありがたく思われる」と話す。

 「食」での対応も進む。北区のお好み焼き店「三星」は今夏、豚肉やアルコールの摂取を禁じるイスラム教の戒律にのっとった食材や調理法を用いた「ハラールお好み焼き」を始めた。

 「京都ハラールネットワーク協会」(中京区)の協力を得て、食材だけでなく鉄板やヘラも一般用と厳密に分け、ハラール認証を受けた。中辻重隆代表(36)は「ムスリムにも安心して食べてもらいたい」と話す。

 嵐山の飲食店「良彌よしや」(右京区)はハラール認証メニューや祈祷室を用意したほか、きめ細かく対応できるようインドネシア人従業員も採用した。女性の髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」も土産物売り場で販売する。素材に着物の生地などを使った鮮やかな色合いで、副社長の佃幸千代さん(52)がデザインし、ムスリムの知人に贈ったところ好評だったため商品化した。

 市によると、ムスリムの多いインドネシア人の市内での宿泊客数は、2017年は約5万4000人と、13年の5・4倍に増えた。マレーシアや中東からの観光客も伸びている。

 ムスリムにも配慮したサービスや商品が京都市外にも広がれば、府全体の観光客増にもつながりそうだ。

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