【ParsToday西アジア】イスラエルによるジェノサイドの規模がどれだけのものかは、アフガニスタンで20年続いた戦争による民間人犠牲者数が4万人であることを考えればわかります。しかし、それでもイスラエル側を支持する投稿がSNS上にはあふれています。イスラエルがこうした支持を得続けている理由は何でしょうか?
言い換え話法
2003年のイラク戦争時、当時のブッシュ米大統領はグアンタナモ基地での捕虜虐待問題の発覚をうけ、批判の矢面に立たされていました。しかし、ブッシュ氏は虐待の代わりに「最先端の取り調べ手法」という言葉を使い、批判を切り抜けようとしました。虐待というマイナスの言葉を避け、プラスの意味の言葉を使ったのです。
この手法は、今のイスラエルメディアも多用しています。例えば、ガザの住宅地への空爆を「報復作戦」と言い換えています。
刷り込み手法
「コール・オブ・デューティー」のような戦争ゲームでは、テロリストは病院などに潜伏している設定になっていることが多く、プレーヤーは勝つためにはそうした場所を攻撃する必要があります。映画についても同様で、2021年の「アサルト33・要塞病棟」では、テロリスト壊滅のため病院を攻撃する物語になっています。
こうしたゲームや映画により、見る者は知らず知らずのうちにテロリストは病院に潜伏するものという意識を刷り込まれていきます。それにより、イスラエルが「ハマスが病院の地下にトンネルを掘り、戦闘に利用している」などと主張すると、容易にそれを信じてしまうのです。実際、イスラエル軍がガザの病院を空爆し、500人以上が犠牲になった時も、世論は動きませんでした。
このように、世論からの批判が予想される行動をとる場合、あらじめメディアなどを通じて世論の地ならしをしておく手法があります。実際に事が起きた時、すでに世論はこれが特別なことではないと刷り込まれているため、大きな反発は起きないのです。これもイスラエルメディアが多用する手法です。
刷り込み手法のプロセス
刷り込み手法には大きく2つのステップがあります。1つ目は、数カ月前、時には数年も前からメディアを通じて特定の行動を様々な形で繰り返し見せることです。これにより受け手はこの行動がごく普通のものだと感じるようになります。先に挙げたゲームや映画におけるテロリストが病院に潜伏している設定は、これにあたります。
2つ目のステップは、実際に行動を起こす数週間前あるいは前日に、その行動を正当化する情報を流すことです。先の例では、イスラエルが「ハマスによる病院内のトンネルの存在」を主張したことがこれにあたります。この2つのステップを踏むことにより、受け手は容易にその行動を正しいものとして受け取るようになります。
イスラエルはここに挙げたような手法を使うことで世論を操作し、ガザでジェノサイドを行っても批判を抑えることに成功しています。この記事で紹介した2つの手法は、あくまでその一部に過ぎません。