26 4月 2025 - 22:26
Source: Parstoday
紅海で王手! イエメンは米軍の無能さを証明するか?

イエメン軍の紅海での作戦は、西側諸国による国際貿易のみならず、世界各地への迅速な米軍の配備力に対しても深刻な脅威となっています。そのため、アメリカはこの問題に対処すべく軍事、外交、兵站面での解決策の模索を迫られています。

 米英は先月15日、イスラエルを後押しする形でイエメンの住宅地や民間施設を標的とした空爆を開始しました。しかし、イエメン軍はこうした攻撃にもかかわらず、ガザ地区の抵抗勢力とパレスチナ市民への支援を継続しており、イスラエル占領地の中心部での作戦実行に加え、イスラエルと関係のある船舶はもちろん、紅海とインド洋に配備されているアメリカ艦船を狙い撃ちし、複数機のアメリカの最新鋭無人機を撃墜しました。

米シンクタンク「ワシントン近東政策研究所(WINEP)」は紅海におけるイエメン軍の作戦継続に言及し、同国の実効支配組織アンサーロッラーが自らの行動により西アジア地域の米軍を「混乱・驚愕させた」と表明しました。

同研究所は「イエメン軍は紅海で西側諸国の航路を封鎖し、西アジアやその他の地域におけるアメリカの迅速な軍の配備・展開力に挑戦状を突き付けている」としました。この報告によれば、米国はこの脅威に対抗すべく兵站的解決策、軍事行動、外交努力を組み合わせた手段を講じているとみられます。

トランプ米大統領は先月15日にイエメンでの軍事作戦を命じており、この作戦は現在も継続中です。今や紅海が国際貿易の大動脈として機能していることは周知の事実です。この重要航路は年間1兆ドル相当の貨物が通過し、世界のコンテナ輸送量の実に30%がこのルートを通過しています。

しかし一方で、この航路は軍事装備品の主要な輸送ルートでもあることから、米国が世界中に軍隊と資源を迅速に移送できる状態にあります。したがって、アンサーロッラーの攻撃は、アメリカの貿易と軍事力を同時に脅かすとともに、アメリカの重大な利益を直接狙い撃ちする形となっています。

アメリカの海洋依存軍艦は紅海でイエメン軍の駐留に直面しても、その入り口に当たるバブ・エル・マンデブ海峡を通過し続けていますが、多くの貿易船はアフリカの喜望峰を回るという、遠回りでしかも費用のかかるルートを選択せざるを得なくなっています。これにより軍事物資の調達に不可欠な迅速さが阻害されており、今や「イエメンは紅海でアメリカとその同盟国を袋小路に追い込んだのではないか?」との指摘も浮上しています。実際に、米国は戦時中の戦闘作戦を支援するため、装備のうち最大80%を商船で輸送しています。アメリカ国防総省は、軍艦隊の能力に加え、危機の際には民間船も活用できるため、融通を利かせてコストを削減し、装備を迅速に戦場に送付できます。しかし、アメリカはこのように商船への依存度が高いため、安全で混乱のない航路を必要としているのが現状です。

米海軍は保有資源が限られている一方で、世界各地で広範な任務を遂行しているため、当然すべての商船は護衛できないことになります。しかも、護衛がついていた船舶でさえも攻撃を受けた例はゼロではありません。

代替ルートとしての喜望峰迂回航路

米国とその同盟国にとって、アフリカ南端・喜望峰へ迂回するという代替ルートは軍事装備の迅速な展開という点では現実的とは言えません。大国間の競争では、米軍が欧州、中央アジア、太平洋の間で軍事装備を迅速に輸送できることが求められ、緊急事態の際にはバブ・エル・マンデブ海峡の通過が不可欠となります。

海上輸送は、軍事物資の輸送にとって依然として最も安価な選択肢となっています。特に空輸はより高価であり、緊急任務の際に優先されます。そこで検討されていのが、3番目の選択肢としての陸路による輸送です。イエメン軍の作戦から防衛するためのアメリカの戦略の一つは、紅海に面した港湾への接近の回避です。その例として、アメリカはサウジアラビア西部ジッダに艦船を派遣し、そこから陸路で軍備を輸送できることが挙げられます。

船舶は港で貨物を荷降ろしする際、より攻撃を受けやすい状態になりますが、貨物がトラック、航空機、その他の車両に積み替えられると、狙われる可能性は格段に下がります。

そこで、前出の米シンクタンクの報告によれば、アメリカがイエメンに関して論理的な決断を下すか、それともイエメンの都市部や水資源の攻撃により自軍の無能さを隠し続けるのかは、今後の状況を注視していく必要があるということです。

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