昨年11月にアサド政権が崩壊してすぐ、イスラエルはシリア領内への侵攻を開始し、ゴラン高原を占領したほか、南部の他地域にも軍を展開させました。
これまでの経緯
イスラエルのネタニヤフ首相は昨年12月9日、アサド政権の崩壊を受けて、1974年にゴラン高原をめぐってシリアと結んだ兵力引き離し協定について「無効になった」と一方的に宣言し、ゴラン高原全体をイスラエル領だとしました。そして同17日、イスラエルはゴラン高原にあるヘルモン山の頂上を制圧。その後、シリア南部に侵攻し、軍を配置しています。
そして、今回新たにクネイトラ県に進軍し、シリア側の勢力から武器を押収し、占領を進めていると伝えられています。また、地元住民は、こうしたイスラエル側の行動にシリア新政権が動きを見せていないことに抗議の声を上げています。
イスラエルによる破壊行為
地元筋は、クネイトラ県に進軍したイスラエルは、県庁舎周辺の建物を破壊したり、公用車に放火したりしていると伝えています。また、県庁舎内部でも物品や設備の破壊行為に及んでいるということです。
沈黙するシリア政府
ジャウラニ大統領を筆頭とするシリア暫定政権は、こうしたイスラエルによる行為を非難するそぶりすら見せようとしません。クネイトラ県議会の議長は、政権側の治安部隊が県内に配備されているものの、イスラエル軍との衝突を避けていると語ります。
シリアの資源を奪うイスラエル
クネイトラ県は昔から乳製品の生産が盛んでした。また、その地形・気候から風力発電にも適していました。イスラエルはこの地を占領し、こうした資源を自らの利益のために利用しているのです。
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