28 6月 2019 - 07:45
ムスリム土葬 信州の試み 社団法人が長野の霊園永代使用権取得

埴科郡坂城町にあるモスク(イスラム教礼拝所)を管理する一般社団法人「ビラールモスクナガノ」が、土葬が一般的なイスラム教徒(ムスリム)向けに、長野市豊野町豊野にある霊園「信州メモリアルパーク豊野霊園」の西端の一角約100平方メートルの永代使用権を得た。

火葬が主流の国内で土葬を受け入れる墓地は少ないが、霊園の土地が空いていたことなどから、まとまった広さを確保できた。埋葬の方法など細部の検討はこれからだが、土葬を希望するイスラム教徒に使ってもらう予定だ。

 墓地埋葬法は遺体を葬る方法として火葬だけでなく、土葬も認めている。ただ、実際には火葬がほとんど。県内のイスラム教徒らによると、宗教や国籍の違い、墓地を所有する寺院の檀家(だんか)の抵抗感などから土葬できる墓地はなかなか見つからない。

 同霊園は約9千平方メートルで、宗教を問わず受け入れている。今回は、同霊園で個人的に墓地の永代使用権を取得したイスラム教徒がいた縁で、空いた区画を「イスラム教徒同士で使ってほしい」と霊園から打診。坂城町のモスクに通うイスラム教徒が寄付を集め、永代使用権に必要な数百万円を用意した。

 イスラム教徒は死後、モスクに遺体を運んで水で清め、白い布にくるんで墓地に運び、あらかじめ掘った穴に入れて仲間で土をかぶせるという。同霊園では、それぞれの遺体の上下左右を石板などで遮って埋葬する予定だ。

 同法人で墓地確保に向け中心となって動いてきた、パキスタン人で中古車販売業のアハメド・シャキールさん(50)=中野市=は「大切な人が亡くなったとき、祈りをささげ、埋葬に立ち会いたいのは宗教や国籍が違っても同じ。長野市の墓地であれば、坂城町のモスクでお祈りした後に駆けつけられる。本当にうれしい」と話している。 

ビラールモスクナガノが永代使用権を取得した霊園の一角(手前)=長野市豊野町豊野

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