18 4月 2017 - 16:32
金襴でイスラムの礼拝マット 京都の織物会社、中東など販売へ

イスラム教徒が礼拝に使うマットを、西陣織の金襴(きんらん)生地を手がける京都の織物会社が製作した。礼拝マットと金襴生地の織り幅が同じであることを生かし、袈裟で使われる古典的な柄をデザインに取り入れた。高級志向の強い中東や東南アジアの富裕層に売り込もうと、販路開拓に力を入れている。

1980年創業の加地金襴(京都市上京区)。寺院を装飾する水引や柱巻、仏具のほか、袈裟などの法衣製品を製造している。


 訪日観光ブームでイスラム教徒も増える中、京の伝統技術を用いた製品を提供できないかと考えた。同じ織製品で、イスラム圏の草花文様と金襴/309古典的な文様が似通っており、技術や意匠を応用しやすい礼拝マットに目を付けた。一般的な製品の織幅が、金襴生地と同じ約70センチであることも決め手となった。


 礼拝マットにはデザインや糸の原料にルールがあるため、イスラーム文化センター(上京区)に相談。ムスリムの意見も実際に聞き、試作を重ねた。こだわったのは全体のデザイン。一般的な礼拝マットは大柄で色数も少ないが、カラフルで細密な柄を織れる西陣織の特徴を生かした。菊や桜といった日本の四季の花をデザインした図案も製品化した。


 国内で開かれたハラール製品の見本市への出品を皮切りに、ドバイやインドネシアなどでの展示会にも参加している。華やかな見た目が好評で、現地の人が大量に買い付けたり、その場で注文が入ったりすることもある。鈴木教之社長は「草花文様の共通性は、大昔から中東地域と日本につながりがあった証拠。二つの文化を融合した製品を広くPRしたい」と話している。