1月にヨルダンの米軍基地が地元抵抗組織の攻撃を受け、米兵3人が死亡しました。米政府はこれに対する報復としてイラクやシリアに対する空爆を行いました。その目的は、気に食わない勢力に「お灸をすえる」というものです。アメリカの論理は、自国兵士3人が殺害されれば、相手側の人間を民間人であろうがなかろうが大量に殺害しても構わないということなのです。
歴代の米大統領はいずれも敵を空爆することに異常な執着を持っていました。国際法や人道支援団体の声明・抗議などでそれが止まるなどとは考えてはいけません。アメリカは暴力の有効性を信じ切っているからです。
アメリカは遠距離から目標を正確に攻撃することで、自らの能力の高さを証明できると思い込んでいますが、それは実際には、権力への執着や戦争による軍需企業への利益誘導にとらわれている弱さの表れです。そのため、西アジアでどれだけ敗北を重ねても、空爆や殺戮を止めることができないのです。
アメリカのテクノロジーほど爆弾や爆撃機を製造するものはなく、アメリカのドクトリンほど戦争による「平和」に固執するものはないと言えるでしょう。第二次大戦後のアメリカの方針は、「大量殺戮による大量生産」でした。
アメリカほど自らの軍事力を大量殺戮に費やしている国はありません。戦前のナチス・ドイツや日本に対する空襲、朝鮮戦争での北朝鮮への攻撃、ラオスやカンボジアにまで戦線拡大したベトナム戦争、90年代の湾岸戦争、そして21世紀に入ってからのアフガニスタンとイラクに対する戦争…
こうしたアメリカを手本とする存在がシオニスト政権イスラエルです。イスラエルは組織的にガザを破壊し、パレスチナ人が居住できないように画策しています。イスラエル指導部は昨年10月の戦争勃発当初、ガザに対する空爆を正当化するため、1945年のナチス・ドイツに対するドレスデン爆撃の例を持ち出しました。
ドレスデンを爆撃した米英は、ドイツ市民をナチスと一体とみなし、この無差別爆撃を正当化しました。その論理は、今のイスラエルがガザ市民全員をハマスのメンバーとみなし、無差別攻撃を行っている姿と重なります。そして、戦争の大義を「民主主義の擁護」に求めている点もアメリカとイスラエルに共通する点です。それを考えれば、アメリカがイスラエルに大量の兵器を提供し続けている理由も分かります。
2001年9月11日の同時多発テロ以降、米軍は西アジア地域における戦争を開始し、今もなお3万人の兵士がこの地域に駐留しています。そしてペルシャ湾には、常に1~2隻の米空母が航行し、クウェートやバーレーン、カタール、アラブ首長国連邦などの各国に基地を持っています。またシリアには、油田地帯を中心におよそ900人の海兵隊員が違法に駐留し、イラクにもあわせて2500人の米兵が駐留しています。
342/