【ParsToday国際】パリ五輪へのイスラエルの参加をめぐっては、様々な団体やSNSユーザーなどが、イスラエルの行為と五輪精神は相容れないとして排除を求めてきました。
そのうちの多くが、国際オリンピック委員会(IOC)がイスラエルによるガザでの犯罪に何らかの反応を示すことを期待していました。それは、IOCが以前からパレスチナ五輪委員会を正式に承認しているからです。
IOCが定めたオリンピック憲章には次の2つの記述があります。オリンピックの目的として「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励する」こと、そして、「手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重」です。
しかし、このいずれの理念もガザ市民の有利にはたらくことはなく、イスラエルへの非難が起こることもなく、IOCの理念と実態の乖離をあらわにしました。
この乖離は、ウクライナ戦争が始まった2年前を振り返ってみると、よりはっきりします。IOCは、ウクライナ戦争が始まるとすぐに声明を発表し、ロシアを非難しました。IOC幹部も「戦争はIOCの理念に反する」「我々はロシアの行動を非難する。ロシアは五輪の参加資格を失う」と明言していました。
今回のパリ大会でも、ロシアとベラルーシの選手は国としての参加ではなく、「中立な個人資格」としてのみ参加を認められています。このため、両国の国旗・国歌が日の目に触れることはありません。
一方、イスラエルの出場について、IOCのトーマス・バッハ会長は大会前に「この件について疑問の余地はない」と述べ、イスラエルから87名の選手が「国として」参加することが認められました。
昨年10月から続くイスラエルによるガザ攻撃では、これまでに4万人近くのパレスチナ人が虐殺されています。英医学誌「ランセット」は、この数字に間接的な死者数やがれきに埋もれたまま行方不明になっている人を含めると、犠牲者は18万6000人に膨れ上がるとしています。
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