聖預言者の娘ファーティマ(S.A)の殉教に寄せて

  • ニュースコード : 814917
  • 出典 : IRIB
Brief

イスラム暦11年 ジュマダッサーニ(6月 )3日に、イスラムの預言者ムハンマド(SAW)の娘で、シーア派初代イマーム・アリー(AS)の妻であったファーティマ(S.A)が殉教し、短い生涯を閉じました。彼女の殉教命日は西暦の場合、今年は3月2日にあたります。

 イスラムの預言者ムハンマド(SAW)がこの世を去ってから、90日が過ぎた当時、メディナの町はまだ、預言者ムハンマド(SAW)の温もりが残っており、モスクは彼の麗しい追憶を辿っていました。

モスクの傍らにある預言者の娘ファーティマ(S.A)とその夫のシーア派初代イマーム・アリー(AS)の家は、計り知れない悲しみに包まれていました。預言者ムハンマド(SAW)が逝去した一方で、その娘ファーティマ(S.A)が病を患っていることは、アリー(AS)とその子どもたちの心に深い悲しみと苦しみを与えていたのです。

 ファーティマ(S.A)は、いよいよ臨終を迎えようとしていました。

 父親を失った悲しみにより、ファーティマ(S.A)は安らぎを奪われていましたが、父親との約束が彼女の心の苦しみを和らげていました。預言者ムハンマド(SAW)は、この世を去るに当たって、娘であるファーティマ(S.A)に次のように述べています。

 「あなたは預言者一門の中で最初に、私の亡き後に私に続くことになるだろう」

  ファーティマ(S.A)が臨終を迎えていたとき、夫のアリー(AS)と4人の子どもたちが、彼女の枕元に控えていました。アリー(AS)は、妻ファーティマ(S.A)の顔を見つめ、短くも実り多い彼女の一生を思い返していたのです。重苦しい、静寂なひと時がゆっくりと流れていきました。アリー(AS)は、高熱のために熱くなっているファーティマ(S.A)の手をとり、彼女が自分にかつて、次のように語っていた日のことを思い返しました。

 

 「アリー(AS)よ、私はどんなことがあってもあなたとともにあります。あなたが落ち着いて、心安らかであるときも、私はあなたと共に生き続け、あなたが困難や災いに遭遇したときも、私はあなたのそばにおります」 

 

 アリー(AS)は、ファーティマ(S.A)が自ら述べたことを見事に実行したことを思い返していました。彼女の子どもたちも、目に涙をためながら母親を見つめ、過去を追憶していました。娘のゼイナブは、母ファーティマ(S.A)が貧しい人々の求めに応じないことはなかったことを思い出していました。

シーア派2代目イマームとなったハサン(AS)は、ファーティマ(S.A)が夜通し祈りをささげていたこと、そして時には礼拝のために夜中に起き出し、全ての人の幸せを願っていたことを思い出していました。3代目イマームとなったフサイン(AS)にも、ファーティマ(S.A)が聡明さや学識をもって、人々を真理の源へと導いていたことが思い浮かんだのです。

 

 その時、にわかにファーティマ(S.A)が目を開き、夫のアリー(AS)と子どもたちに目を向けました。彼女は、子どもたちのことをよろしく頼むと共に、自分を夜の間にそっと、他人の目に触れないよう葬って欲しいと、あたかも最後の遺言をしているようでした。この上ない悲しみが、アリー(AS)に襲い掛かってきました。

彼は、しばしの間神に祈ろうと思い、モスクに足を運びました。しかし、それから間もなく、ファーティマ(S.A)が天に召されるときがやって来たのです。 

 

 この瞬間、ファーテイマ(S.A)は天使の翼に乗り、旅立ちました。アリー(AS)が家に戻ってみると、ファーティマ(S.A)の体からは既に、温もりも力もなくなっていたのです。アリー(AS)は、ファーティマ(S.A)の魂の無くなった亡骸を見て、ファーティマ(S.A)に向かって次のように語りかけました。

 

 「あなたの後に残る世界と、そこに生きながらえる命に良いことはない。あなたが亡くなった後の私の人生が長く続くのでは、という恐れの気持ちから、私は涙するのである」 

 

 こうして、西暦632829日、イマーム・アリー(AS)の妻ファーティマ(S.A)はこの世を去りましたが、彼女はその崇高な価値観を永久的に残していったのです。

 

 ファーティマトゥ・ザハラー(S.A)は、偉大な女性であり、彼女の言動と記憶は永久に、真理を求める人々に光を与えるものです。彼女は、18年という短い人生の中で、人間としての美徳を全て兼ね備えていました。さらに、創造世界とその創造主についても深い理解をもち、崇高な道を歩み、幸福な人生や見本となっていたのです。

創造主の叡智は、ファーティマ(S.A)の存在と完全に融合しており、彼女は人生において、神の存在と神の満足以外の物事を考えることはありませんでした。

 

 ファーティマ(S.A)の高潔な魂は、現世の表面的な華やかさや誘惑とは切り離されており、アリー(AS)とファーティマ(S.A)が住んでいた家には、高価で不要な物などありませんでした。しかし、その一方でそこには神への信仰心や愛情、高潔さがみなぎっており、責任感や正義感、権利の回復のための努力といった精神が溢れていたのです。

ファーティマ(S.A)は、禁欲的ではありましたが、決して現世から隠遁していたわけではなく、それは彼女が現世の表面的な誘惑に負けることがなかったことを意味します。世俗的な物事に執着しないという点で、ファーティマ(S.A)ほどの人物は見当たりません。

彼女は、自分が手に入れたものを神のために使い、自己献身や任意の寄付を行っていたのです。 

 

 ある日、ファーティマ(S.A)の夫アリー(AS)の下に届いたばかりの戦利品が、預言者ムハンマド(SAW)に届けられました。アリー(AS)は、戦利品をムハンマド(SAW)の元に届け、ムハンマド(SAW)にファーティマ(S.A)のメッセージを伝え、次のように述べています。

「あなたの娘は、戦利品のうちの私たちの分を、神のために寄付してくださいと言っていました」 

 

 預言者ムハンマド(SAW)は、ファーティマ(S.A)のこの行動を非常に喜んだとされています。

 

ファーティマ(S.A)の言動は、他人に対する尊敬の念と礼儀に満ちていました。これについて、ファーティマ(S.A)に付き添った、アスマーという名前の女性は、次のように述べています。

 

 「私は、ファーティマ(S.A)よりも礼儀正しい女性を見たことはない。彼女は、神のもとで礼儀作法を仕込まれたのである。神はある啓示を下した時に、人々に対し神の預言者を名前で呼ばないよう求めた。ファーティマ(S.A)も、その命に従い、父親を神の使途と呼んでいた。だが、これについて預言者ムハンマド(SAW)は、神のこの啓示が自分の娘には適用されないとしている」

 

 家庭生活においても、ファーティマ(S.A)は天との間に非常に深い結びつきを築き、それはいかなる時もゆらぐことはありませんでした。

 

 ファーティマ(S.A)は、この世を去るまで夫のアリー(AS)と共に、正義と真理を広める為に全力を尽くし、イスラムの灯火を強め、恒久的なものにしました。彼女はまた、強い責任感を有しており、波乱万丈の自らの人生が、神から言い付かった責務を果たす為の機会だということを認識していたのです。

幸福な人とは、人生における自分の責務を肯定的に捉え、それを実行する人です。重要なことは、自分の人生のあらゆる瞬間において、責務とは何か、また何をすべきかを考えることです。責務を遂行するには、賢明さや見識、洞察力が必要になります。ファーティマ(S.A)は、この点に関する自らの責務と使命を良く理解していました。このため、彼女はその道のために全力を尽くしていたのです。

勿論、彼女は片隅に座って礼拝にいそしむことも出来たはずでした。しかし、彼女は一人の人間としてあるべき姿は、これを超えた責務を担うことであり、最後の審判の日には全ての人が自らの責務について問われることを知っていたのです。 

 

 ファーティマ(S.A)は、自らの奥深い洞察力により、預言者ムハンマド(SAW)亡き後に世の中の基準が、イスラム以前の無明時代に逆戻りすることを予測し、これについてイスラム教徒たちに警告しました。彼女は、洞察力と見識をもって、イスラムの礎に襲い掛かる様々な出来事の前に立ちはだかり、真理の前線をおろそかにすることはなかったのです。

ファーティマ(S.A)は、預言者ムハンマド(SAW)の業績を守ることについては決して妥協せず、果敢にイスラムを守ったのです。

 

 ファーティマ(S.A)にまつわる貴重な思い出の1つに、預言者ムハンマド(SAW)がこの世を去った後、イスラム社会に逸脱や対立が生じたときに彼女が行った発言があります。この中でファーティマ(S.A)は、真のイスラムの姿を説明しています。これは神の道を歩もうとする人の行く手を照らす灯りのようなものです。

ファーティマ(S.A)は、この中で、人類の救いの道は神の啓示宗教を信じ、神の命に従うことであると述べています。それでは、ファーティマ(S.A)のこの言葉の一部をご紹介し、締めくくることにいたしましょう。 

 

 「人々よ、あなた方は業火の断崖にあり、卑しい生き方をしていた。又、いつ敵が襲ってきて、あなた方を捕虜とするかもわからない状態にあった。そのような中で、神は預言者ムハンマド(SAW)を通して、あなた方を解放した。預言者ムハンマド(SAW)こそは、無神論と多神教という暗闇を、イスラムという光によって照らし、無明という暗闇から、人々を開眼させたのである」

/309


関連コンテンツ

あなたのご意見をお寄せください

あなたのメールアドレスは公開されません。エントリーフォームの必須項目には*印が付いています。

*

Arabian of imam hussain
mourning-of-imam-hussain
پیام امام خامنه ای به مسلمانان جهان به مناسبت حج 2016