訪日ムスリムの「食事」選び 同胞の口コミが最も安心

  • ニュースコード : 845044
  • 出典 : style.nikkei
Brief

飲食店などの集客支援を手掛けるROI(アールオーアイ、東京・新宿、恵島良太郎社長)の口コミアプリ「ハラルナビ」は、イスラム教徒(ムスリム)が安心して飲食店を選ぶためのツールだ。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、日本を訪れるムスリムは一段と増えることが予想される。同社は厳しい戒律から「食の安心」に気を使うムスリムの生の声を集め、飲食店のメニュー開発や海外進出の支援ビジネスにつなげる考えだ。

「ここは豚肉ベースもあるから気をつけて。でも野菜カレーは大好き」。一部メニューでハラル認証を得ているカレー店の情報を在日インドネシア人のムスリム女性がアプリに英語で書き込むと「ありがとう、役に立った」など様々な反応が寄せられた。
 ハラルナビではこうした口コミを一覧できる。ハラルはアラビア語で「許されている」という意味で豚肉やアルコールは禁忌。食肉処理や輸送の方法も規定される。
 ムスリムが外国で戸惑うのはハラルの基準が曖昧なことだ。例えば個々の食材で認証を取った飲食店でも、隣席でビールを飲む人がいると嫌だという人がいれば、ベジタリアンメニューがあれば隣で豚肉を食べていても平気な人もいる。認証制度もあるが、ムスリムが信頼を置くのは同じムスリムの口コミだろうとハラルナビを開発した。
 ダウンロード数は14年の開設以来5万件以上。掲載する飲食店数は約1000店、口コミ数は約2000件に膨らんだ。写真を目立たせ、モスク(イスラム礼拝所)の場所も地図上に表示する。4月にはスーパーやホテルの検索機能も追加した。
 飲食店情報や評価は利用者が自主的に記載している。一般のグルメサイトと違い掲載料や広告料を取らず、情報の客観性を保つ狙いだ。「まずはムスリムが集うメディアを構築し、困った時の助けになるインフラに育てたい」(恵島社長)
 ハラルナビやマレーシアが拠点の事業は将来の成長に向けた新規分野という位置付けだ。同社の主力事業は集客・販促支援サイト「ファンくる」の運営。覆面モニターの募集や派遣、リポート作成を手掛け、登録会員数は約75万人、掲載店舗数は約6000店に上る。
 04年の設立から10年余りで会社の売上高は約17億円となったが、課題は収益の柱を増やすこと。その伸びしろとして海外事業やムスリム向け飲食サービス支援事業に期待している。ハラルナビで蓄積した情報やムスリムのネットワークは、飲食店のメニュー開発や海外進出の際のマーケティングなどに役立つとみてアイデアを練る。
 ROIは12年にマレーシアの首都クアラルンプールに現地法人を設立。中所得国に成長し外食産業の発展が見込める同国で、日本企業の進出支援や貸事務所を始めた。ハラルナビの拠点も現地に置き、開発から運営までマレーシア人のムスリム社員が手掛ける。
 在日ムスリム向けに始めたハラルナビだが、インバウンド(訪日外国人)の利用が急増し海外でのダウンロード数が国内を上回った。恵島社長は「訪日ムスリムに占めるハラルナビのダウンロード率は5%程度。東京五輪・パラリンピックが開かれる20年には30%に高める」と意気込む。
 フェイスブックなどを通じて広がり、インバウンド誘致に力を入れる旅行会社とのタイアップが奏功している。ハラルナビは他社にない武器になるとみて20年をめどにダウンロード数累計300万件、利用者数150万人に伸ばす目標。これをテコにサービス開発やPRを加速する構えだ。
(渡辺禎央)
[日経産業新聞2017年5月29日付]

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